こんにちは、水前寺江津湖公園です。
11月26日付ブログで発したクイズの回答です。公園スタッフの巡視中、「あれガガイモだろ?」「知っとっとばい」とお声掛け下さいました幾人かの公園利用者のみなさま、お相手していただきありがとうございました。
というわけで、その正体は、9月上旬に花を咲かせていた、ガガイモの種子でした。ケセランパサランの正体はこれではないか、と言われる事もあるそうです。
伸びたつるに房を付け、その中には美しい白毛が幾何学的に敷き詰められています。
種子のついたこのわた毛は風に乗って広く散らばるよう凝らされた工夫でしょう。
広木地区の原っぱで、空中をふわふわ浮いている白い毛状の物体を見つけたら、それはガガイモの種子である可能性が高いでしょう。
それにしても、美しいガガイモの白い毛。観察していて、江津湖ではありませんが、熊本に伝わる歌人・桧垣媼の昔話を思い出しました。
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今から1,000年以上前の話という事ですが、肥後国・白川の畔に住んでいる桧垣媼は、かつて溢れる才知と輝く美貌で、京の都をブイブイ言わせたキャリアの持ち主。戦乱などで凋落し、
「むばたまのわが黒髪は白川の みづはくむまでなりにけるかな」
と嘆くほど貧しい生活に呻吟していた折、京時代にいい仲だった清原元輔、この人はあの清少納言の父親ですが、時の肥後守として赴任してきたのをきっかけに、二人は文学的交流を持ち日々の生きる糧としたそうです。
その元輔が京へ帰任する際、桧垣媼は感謝の思いを込めて、
「白川の底の水ひて塵立たむ 時にぞ君を思い忘れん」
という歌を返礼とした、という平安時代の極めて優しい物語です。
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この話、実のところ元輔は任地の肥後で死去していたり、福岡県・大宰府版の話があったり、相手の男が別の人物だったり、諸説あるほどに人口に膾炙した物語です。日本人の趣向にあったのでしょう。なお、熊本市内西区蓮台寺に桧垣は隠棲していたそうですが、同じ白川沿い、北区の方には「黒髪」という地名があります。
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